大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和58年(オ)1406号 判決 1988年3月15日

上告人

岡本政彦

上告人

藤岡栄治

上告人

益川輝巳

右三名訴訟代理人弁護士

小笠豊

被上告人

有限会社宝運輸

右代表者代表取締役

上野聡明

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人小笠豊の上告理由一及び二について

一いわゆる賃金の仮払を命ずる仮処分命令(以下「仮払仮処分」という。)に基づく強制執行によって仮処分債権者が金員の給付(以下「仮払金」という。)を受領した後に右仮処分が控訴審において取り消された場合には、仮処分債権者は、仮払金と対価的関係に立つ現実の就労をしたなどの特段の事情がない限り、仮処分債務者に対し、受領した仮払金につき返還義務を負い(以下、仮処分債務者の右返還請求権を「仮払金返還請求権」という。)、その範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきところ、右の理は、本案訴訟が未確定であり、かつ、従業員としての地位を仮に定める仮処分命令(以下「地位保全仮処分」という。)が同時に発せられていたときであっても同様であると解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。すなわち、仮払仮処分は、仮処分債権者である労働者と仮処分債務者である使用者との間に雇用契約の存否をめぐる紛争があり、仮処分債権者が本案判決の確定に至るまでの間賃金の支払を受けられないことによる生活困窮の危険を避けるため、賃金の全部又は一部に相当する金員の支払を仮に命ずるものであり、その執行によって被保全権利が実現されたのと同様の状態が事実上達成されるいわゆる満足的仮処分の一種である。しかしながら、かかる類型の仮処分は、疎明手続により仮の履行状態を作出することを目的とする仮の地位を定める仮処分であって、被保全権利の終局的実現を目的とするものでも、それ自体として完結的な実体法上の法律関係を形成するものでもなく、本質的に仮定性、暫定性を免れるものではないから、仮払仮処分の執行による金員の給付がされた後に右仮処分が控訴審において取り消された場合には、その間に生じた仮処分の効果も当初から発生しなかったことに帰し、右給付はその根拠を欠くに至って執行開始前の状態に復元すべきことが、右仮処分制度の本来の趣旨から要請されているといわなければならない。そして、実体法上の賃金請求権は、労務の給付と対価的関係に立ち、一般には、労働者において現実に就労することによって初めて発生する後払的性格を有するところ、仮払仮処分は、使用者による就労拒絶という事態を前提とし、これが将来も続くことを予想して発せられるのが通例であって、仮処分債権者に対し労務の給付又はその提供を義務づけるものではなく、仮処分債務者の仮払金支払義務も当該仮処分手続内における訴訟法上のものとして仮に形成されるにとどまり、その執行によって実体法上の賃金請求権が直ちに消滅するものでもない。したがって、仮払金返還請求権は、右賃金請求権の存否に関する実体的判断とはかかわりを有しないこととなるから、それをめぐる本案訴訟が別に係属中であっても、仮払金返還請求権の発生ないし行使の障害になるものではないというべきである。また、地位保全仮処分も、雇用関係が存続する状態における仮処分債権者の包括的な地位を訴訟上仮に形成し、その任意の履行を期待するものにすぎず、これを前提として更に裁判上請求できるような賃金請求権を発生させる効果まで有するものではないから、右仮処分が仮払仮処分と同時に発せられていたときであっても、同様に解すべきものであって、仮処分債権者がこれを契機として仮払金と対価的関係に立つ現実の就労をしたなどの特段の事情がない限り、地位保全仮処分の存在によって仮払金返還請求権が左右されるべき合理的な根拠はない。そして、仮払金返還請求権は、仮執行に基づく給付がされた後に本案判決が変更された場合に関する民訴法一九八条二項の原状回復請求権に類するものであるが、その返還義務の範囲については、かかる仮処分の特殊性に鑑み、公平を理念とする不当利得の規定に準じて定めるのが相当である。

二これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、(1)被上告会社の従業員である上告人らは、被上告会社がした解雇の意思表示の無効を主張して、昭和五〇年に、広島地方裁判所福山支部に対し賃金仮払及び地位保全を求める仮処分命令を申請したところ、同裁判所は、昭和五四年二月二八日、右解雇の意思表示が無効であるとして、上告人らが被上告会社の従業員の地位を有することを仮に定め、被上告会社において上告人らに対し解雇の日の翌日から本案判決確定まで賃金相当の金員を仮に支払うべき旨の判決を言い渡した。(2)上告人らは、右判決に基づく強制執行により、同年一一月までに、被上告会社から、上告人岡本政彦において合計一六三万五一五五円、同藤岡栄治において合計一七四万七五六〇円、同益川輝巳において合計一七〇万一五七四円の仮払金(以下、一括して「本件各仮払金」という。)を受領したのち、これを全国一般労組宝運輸分会に対し闘争資金として贈与した、(3) 右判決に対して双方が控訴したところ、広島高等裁判所は、昭和五五年三月三一日、一審判決中、上告人らの仮払にかかる部分を取り消して同部分の申請を却下し、地位保全にかかる部分を維持する旨の判決(以下「本件仮処分二審判決」という。)を言い渡し、右判決が確定した。(4) 上告人らは、昭和五四年に、被上告会社に対し解雇の無効確認及び賃金の支払を求める本案訴訟(以下「本件本案訴訟」という。)を提起し、本件事実審口頭弁論の終結時になお右本案訴訟がその一審に係属中であった、というのである。

以上の事実関係によれば、上告人らの受領した本件各仮払金につい、本件仮処分二審判決の言渡により被上告会社の上告人らに対する仮払金返還請求権が発生したものであり、本件本案訴訟が係属中であるとの所論指摘の事情も右請求権に消長を来たすものではないことは、前記の説示に照らして明らかである。そして、およそ金員の支払を受けることによる利益は、その価値が受領者の一般財産の中に埋没され、たとえこれが消費されても、格別の事情がない限り、利益が現存するものとみて妨げはなく、また、受領者においてこれを他に贈与することは、自己の責任においてする財産の処分にすぎず、利益の現存を左右するものではないから、前示の事実関係のもとにおいては、本件仮処分二審判決の言渡の当時、本件各仮払金の受領による利益が上告人らに現存していなかったものということはできない。

三ところで、被上告会社は、上告人らに対し、不当利得返還請求権に基づき、本件各仮払金及びこれに対する本件仮処分二審判決の言渡の日の翌日から支払済みまで民法所定年五分の割合による利息の支払を求めているところ、記録にあらわれた被上告会社の主張の趣旨に照らせば、右請求には前記説示にかかる仮払金返還請求権に基づく請求も包含されているものと解するのが相当であり、その理由があることは前示のとおりであるから、これを認容すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は、ひつきよう、以上と異なる見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

同三について、

本件記録及び前示事実関係によれば、上告人らは、解雇の意思表示の無効を前提として被上告会社に対し賃金債権の給付等を求める本件本案訴訟を提起し、生活困窮の危険を避けるため仮払仮処分に基づき本件各仮払金の給付を受けたが、その後右仮処分が取り消されたため、被上告会社から右仮払金の返還を求める本件訴訟を提起され、同訴訟において、本件本案訴訟で訴求中の賃金債権(以下「本件自働債権」という。)をもって本件仮払金返還請求権(以下「本件受働債権」という。)と相殺する旨の抗弁を提出し、本件事実審口頭弁論の終結時になお右本案訴訟がその一審に係属中であった、というのである。しかしながら、本件受働債権の給付請求権は、仮払仮処分の取消という訴訟法上の事実に基づいて発生し、本来、民訴法一九八条二項の原状回復請求権に類するものであり、右のように別訴で現に訴求中の本件自働債権をもってする上告人らの相殺の抗弁の提出を許容すべきものとすれば、右債権の存否につき審理が重複して訴訟上の不経済が生じ、本件受働債権の右性質をも没却することは避け難いばかでなく、確定判決により本件自働債権の存否が判断されると、相殺をもって対抗した額の不存在につき同法一九九条二項による既判力を生じ、ひいては本件本案訴訟における別の裁判所の判断と抵触して法的安定性を害する可能性もにわかに否定することはできず、重複起訴の禁止を定めた同法二三一条の法意に反することとなるし、他方、本件自働債権の性質及び右本案訴訟の経緯等に照らし、この債権の行使のため本案訴訟の追行に併せて本件訴訟での抗弁の提出をも許容しなければ上告人らにとって酷に失するともいえないことなどに鑑みると、上告人らにおいて右相殺の抗弁を提出することは許されないものと解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官安岡滿彦の補足意見、裁判官伊藤正己の反対意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

裁判官安岡滿彦の補足意見は、次のとおりである。

私は、上告理由一及び二に関し、本件各仮払金の返還義務の範囲は不当利得の規定に準じてこれを定めるべきものとする多数意見に同調するものであるが、その論拠について私の考えを述べることとする。

いわゆる満足的仮処分に基づき給付された金員につき、右仮処分の取消を理由にその返還を求める仮処分債務者の請求権は、仮執行宣言に基づく給付がされた後に本案判決が変更された場合に関する民訴法一九八条二項による返還請求権に類するものということができ、基本的には原状回復請求権の性質を有し、仮処分債務者は、本案訴訟の対象たる給付請求権の存否とかかわりなく返還を求めうるものと解される。しかしながら、仮の地位を定める仮処分の内容は多様であり、それに応じて様々な関係が生じうるのであって、その取消に伴う返還請求に関しては、当事者間の公平や利害の調整を無視することはできず、この視点を離れて原状回復の法理をそのまま貫徹することはできないものと考えられる。ことに本件のように仮払仮処分と同時に任意の履行を期待する地位保全仮処分が発せられた場合にあっては、多数意見も指摘するように、この仮処分に基づく現実の就労など様々な事態が生じうることは免れず、むしろ当初から予定されたところといわなければならない。これらは実体法上の雇用契約ないし賃金請求権とは別個の、右仮処分自体によって仮に形成された関係に基づくものというべきではあるが、これを全く無視して原状回復を認めるのは相当でないから、仮処分債権者の仮払金返還義務の範囲については、公平を理念とする不当利得の法理に従い調整が図られるべきものと思料する。

裁判官伊藤正己の反対意見は、次のとおりである。

私は、上告理由一につき多数意見と見解を異にし、論旨は理由があり、この点において原判決を破棄し本件を原審に差し戻すべきものと思料する。以下にその理由を述べることとしたい。

もとより、仮払仮処分も、民訴法が予定する仮処分の一種であり、本質的に仮定性、暫定性を免れるものでないことは、多数意見の説示するとおりである。しかしながら、賃金は労働者の必須不可欠の生活手段であって、右仮処分の眼目も、雇用契約の存否をめぐる紛争の本案判決が確定するまでの間賃金の支払を受けられないことによる労働者の生活困窮の危険を避けることにあり、また、右仮処分が地位保全仮処分と同時に発せられていることを特に念頭に置いて考える必要があると思われる。すなわち、地位保全仮処分には、任意の履行を媒介として、包括的かつ流動的な労働関係を調整する機能をも付与されているのであり、このことに鑑みると、右仮処分により仮に形成される訴訟法的な法律関係にも雇用契約上の法理が類推適用されるべきところ、仮処分債務者において雇用契約の終了を主張している以上、仮処分債権者のする労務の提供の態様も軽減される筋合であり(最高裁昭和二九年(オ)第五二二号同三二年六月五日大法廷判決・民集一一巻六号九一五頁参照)、しかも、本件においては、上告人らの解雇の効力をめぐる本件本案訴訟が現に係属中であって、その有効性が未確定の状態にあることは明らかである。したがって、仮処分債権者は、右の各仮処分を同時に発した裁判所の公権的判断を信頼し、これを前提として雇用契約の本旨に従った労務の提供をし、他にも就労もしないでいたような格別の事情がある場合には、その受領が拒絶されたとしても、民法五三六条二項ないし受領遅滞の法理に従い、賃金に準じた金員の支払請求権を取得し、これを本件各仮払金の返還請求に対する抗弁事由とする余地があるといわざるをえない。また、記録によれば、上告人らの解雇事由は、被上告会社の経営困難を克服するためにされたいわゆる整理解雇であって、その効力の判断には微妙な要因が含まれているばかりでなく、本件仮処分二審判決は、上告人らが解雇後に他で就労し収入を得るに至ったことを理由に賃金仮払の必要性を否定し、その申請を却下するものであるところ、本件各仮処分の額が上告人らの解雇後右就労時までの間の各仮払金の合計額に概ね相当するものであることが窺われるものである。そうすれば、少なくとも右期間中の仮払につき保全の必要性が存在したことは否定することができず、上告人らが仮処分の趣旨に従って前記のような行動に出たことも十分考えられるところであって、それにもかかわらず、仮払仮処分が控訴審で取り消されたとの一事をもって上告人らが右仮払金の返還を余儀なくされるものとすれば、その合理的な期待に著しく反する結果を招来し、かかる仮処分制度の存在理由を没却することになりかねず、他方、権利濫用の法理に照らしても、仮処分債務者の本件返還請求は、たやすくこれを肯認し難いものというべきである。

そうすると、原審が、その確定した事実関係のもとにおいて、上告人らの受領した本件各仮払金につき、本件仮処分二審判決の言渡により、直ちに被上告会社の本件不当利得返還請求を肯認した点には、法令の解釈を誤り、ひいて理由不備、審理不尽の違法があるものというべきであり、右違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、この趣旨をいう上告理由一の論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、叙上の点について更に審理を尽くさせる必要があるから、その余の論旨に対する判断を省略し、これを原審に差し戻すのが相当である。

(裁判長裁判官長島敦 裁判官伊藤正己 裁判官安岡滿彦 裁判官坂上壽夫)

上告代理人小笠豊の上告理由

控訴審判決には、次のとおり判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背がある(民事訴訟法三九四条)。

一、賃金請求の本案訴訟が継続しているのに、賃金仮払い仮処分判決が取り消されたために、仮払金の受領を法律上の原因に欠くに至ったものとして不当利得の成立を認めたのは、民法七〇三条及び仮処分判決の性格について解釈を誤ったもので、判決に影響を及ぼすことは明らかな法令の違背がある。

1 控訴審判決は、「控訴人らが被控訴人から受けた仮払金は賃金仮払仮処分の判決によって訴訟上仮に形成された賃金仮払請求権によるものであって、実体上の賃金請求権によるものでないから、二審判決によって一審判決の賃金仮払を命ずる部分が取り消され、控訴人らの賃金支払を求める仮処分申請部分が却下された以上、法律上の原因を欠く不当利得として被控訴人に返還すべきものと解せられ」るとしている。

2 しかし、仮処分は本案訴訟が確定するまでの暫定的な処置であり、本案訴訟に付随するものである。仮処分の被保全権利は、本案訴訟の請求債権である。つまり仮払金は本案訴訟の賃金請求権と無関係ではなく、賃金請求権を仮に実現したものに過ぎない。従って仮払金の受領が不当利得になるか否かは、本案訴訟の賃金請求権の存否にかかるのであって、仮払を命ずる仮処分判決が、その後他所に就労するに至ったため保全の必要性を欠くに至ったものとして取り消されたからといって、直ちに法律上の原因を欠くものとして不当利得が成立するものと解すべきではない。

3 本件においては、被上告人が資産・資力に欠け、上告人らが将来別訴本案訴訟で勝訴しても賃金の支払を受けられなくなる虞があるため、上告人らは賃金請求権を保全するために、本件返戻請求権を別訴本案訴訟の賃金請求権で仮差し押さえする必要がでてくるが、自らの賃金請求権で自らに対する賃金仮払返戻請求権を仮差し押さえするという錯綜した非常に奇妙な法律関係が生じることになる。このようにヘビが自分の尻尾を噛むような関係が生じるというのは、賃金請求の本案訴訟が継続しているのに、賃金仮払金についての返戻請求権を別個に不当利得として認めるからにほかならない。このような不自然な関係を生じさせる解釈は、解釈自体が誤まっていると考えなければならない。

上告人・被上告人間で、地位確認・賃金請求等の本案訴訟が継続している限り、実体上の権利関係は未確定であり、本件仮払金の受領は仮処分判決が取り消されても、法律上の原因を欠くものとは言えないと解すべきである。(判例タイムズNo三五二、二八二頁解説参照)

二、上告人らが仮払金を一旦組合に拠出し、当時就労しながら賃金の支払を受けられなかった他の組合員を含めた一三人の組合員で平等に分配した点について、利得の消滅とみることが出来ないとした解釈は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背である。

1 控訴審判決は、「控訴人らの仮払金の拠出は控訴人らが取得した仮払金の無償譲渡と認められ、外形的には利得の消滅をきたしているようにみえなくもないが、それは控訴人らの責任において行われた財産の処分であると言うべきであって、利得の消滅とみることができ」ないとしている。

2 しかし右のような解釈は、例えばギャンブルに浪費した場合利得が消滅したと解されるのと明確な区別が出来ず不当である。ギャンブルに浪費するのも自分の責任において行われた財産の処分といえるからである。むしろその仮払金が入らなければ、そういった無償譲与はしなかったと言えれば利得は消滅したと解するほうが、善意の利得者の返還義務を現存利益に限定した法の趣旨に適う。

三、相殺の主張を認めなかったのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背である。

1 控訴審判決は、相殺の抗弁を認めない理由として、既判力の抵触の虞と訴訟経済上の要請を理由として挙げる。

2 しかし本件のような賃金請求権と賃金仮払金請求権のような表裏をなすような関係にある債権相互間では、そもそもそれが別個独立すると解することが問題なのであるが、仮にそう解するとした場合、本案判決が確定すれば結論が何れであれ問題は一挙に解決するわけだから、本案判決が確定するまで一応相殺の抗弁を認め、最終的な解決は本案判決の確定にゆだねる方が訴訟経済にも即するし、紛争の一挙的解決もはかれる。

3 二重起訴禁止の趣旨からみても、そもそも仮払金返戻請求権を賃金請求権の存否とは別個に認めることの方が問題であるが一応相殺の抗弁を認め、自働債権については訴訟継続しないと解すべきである。

相殺の抗弁の主張を許すのが学説の多数説である。(注解民事訴訟法(4)、一三五頁参照)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例